2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『日本-その問題と発展の諸局面』(6)

新渡戸稲造の聖徳太子への賛美は止まない。 この本の真髄はこの短い「国家統合」という項目なのではないだろうか? まず、新渡戸は前項で聖徳太子の「根本枝葉花実説」を紹介し、太子はコンスタンティヌスで、アソカであると賞賛し、この太子の「宣言」によ…

「建国の事情と万世一系の思想」(追記あり)

新渡戸稲造の天皇論がトントントンと進まない。 ブログに書く事によって、多くのコメントをいただける。 津田左右吉の「建国の事情と万世一系の思想」だ。 青空文庫で読める。 http://www.aozora.gr.jp/cards/001535/files/53726_47829.html 記紀に関する解…

『日本-その問題と発展の諸局面』(5)

新渡戸が亡くなる2年前、1931年に英文で出版した日本史をまとめた書籍の中から、皇室に関する部分を中心に書き出している。 二章 歴史的背景の第三項は「大陸文化の導入」では韓国と日本の歴史的関係の深さが書かれている。 「朝鮮は朝鮮人のため」という伊…

神武天皇オーストロネシア語族説

新渡戸稲造の『日本-その問題と発展の諸局面』の備忘録をトントントンと書く予定が足踏みしてしまった。 前回書いた「神武天皇オーストロネシア語族説」が原因だ。 最近開拓された台湾サークルのSNSに発信してみた。 私「神武天皇がオーストロネシア語族だ…

『日本-その問題と発展の諸局面』(4)

新渡戸稲造の日本史。 オックスフォード大学歴史学者、H.A.L.フィッシャー閣下編纂の世界の歴史シリーズの一冊である。 フィッシャー閣下はデビッド・ロイド・ジョージ政権で文部大臣も勤めた方である。 やっと”神武天皇オーストロネシア語族”の箇所が書ける…

『日本-その問題と発展の諸局面』(3)

『日本-その問題と発展の諸局面』の ”第一章 地理的特徴 ー とくにその社会的・経済的影響に関連して” では、天皇、皇室の事は触れられていない。 しかし最後の項目、「八、日本の地理の政治的国際的意義」に日本の防衛、海洋安全保障、特に太平洋に関する…

『日本-その問題と発展の諸局面』(2)

『日本-その問題と発展の諸局面』は新渡戸稲造全集第18巻に佐藤全弘氏の和訳が納められている。 原文は英文で、1931年にLondon, Ernest Benn Limitedから出版されている。 この本は、新渡戸稲造が序文で述べているように、7年間の勤務を終えジュネーブの…

『日本−その問題と発展の諸局面』新渡戸稲造1931.9.1

矢内原忠雄の『南洋群島の研究』から始まった、新渡戸、後藤新平への関心。 3人ともその業績を全て理解するのは当方には到底不可能なので、「植民」というテーマに絞って勉強しようと心に決めたばかりだが、憲法第一条の天皇象徴の箇所と新渡戸稲造の発言の…

新渡戸稲造の天皇象徴論(3)

やはりこうやって公開で書くと多くの反応をいただけるのでありがたい。 新渡戸が天皇は象徴である云々について、当方は『武士道』を引用して現在の憲法第一条との違いを主張したが、新渡戸は1931年、亡くなる2年前にロンドンからの依頼で『日本ーその問題と…

新渡戸稲造の天皇象徴論(2)

第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。 新渡戸稲造がこんな文章を読んだら怒り狂ってお墓から出てくるであろう。 櫻田淳さんが憲法の天皇象徴は新渡戸が言っていると繰り返すので、…

新渡戸稲造の天皇象徴論(2)

英国の王室がauthor and symbol と言ったBoutmyさん。新渡戸は引用しただけ。 新渡戸稲造が、天皇は日本の象徴であるという憲法に出て来る文章のオリジンかどうかはしっかり検証する必要がある。 象徴と言ったのはM. BoutmyのThe English People: A Study of…