「海人族と神武東征物語」 黛弘道著

関西に居を構えて、神武東征の足跡を辿る旅を何度か実行した。 頭の悪い、意地悪な、上から目線おじさんたちが「神武が本当にいたと思っているのか?」と聞いてくる。 いたに決まっているのではないか。いや誰かがこの地域を統合しようと試みたのだ。また神…

矢内原の委任統治論文

矢内原は2つの、少なくとも2つの委任統治制度に関する論文がある。 ごっちゃになっていたのでメモ。 一つ目が1932年7月『国家学会50周年記念国家学論集』に掲載された「植民政策より見たる委任統治制度」これは戦後昭和23年に発行された『帝国主義研究』…

ドイツ帝国文化闘争を解決したカロライン諸島領土紛争

ドイツの植民政策を理解する事はインド太平洋理解に必須である。 高岡熊雄著『ドイツ内南洋統治史論』にパラオ、ヤップなどのカロライン諸島をめぐる、スペインとドイツの領土紛争を、ビスマルクが教皇レオ13世に仲裁を依頼し解決したことが詳細に書かれて…

パラオはスペインに植民されていない?

レオ13世とビスマルク。文化闘争はビスマルクの失敗ではなかった。背後にパラオ、カロライン諸島の領有権問題があった! Even those who claim to be scholars and experts do not know the history of the Pacific Islands. They speak from their own as…

On the Death of Prime Minister Abe: Moon and Sasakawa in the Pacific (4)

Two weeks have passed since the murder of Prime Minister Abe. Criticism of the Unification Church has become apparent, just as the suspect, Yamagami, had expected. I was vaguely aware of the existence of the Unification Church in the Pacif…

安倍総理の死に接して:太平洋のムーンとササカワ(4)

安倍総理殺害から2週間が経過した。山上容疑者の思惑通り、統一教会に対する批判が顕在化してきた。統一教会の存在は太平洋で朧げに知っていた。 90年代、太平洋島嶼国を訪ねるとよく聞かれたのだ。 「あなたムーン?」 「いえ、ササカワ」 私と同じ20代…

安倍総理の死に接して:北朝鮮・拉致問題

私が安倍総理、安倍政権を応援して来たのは、私の太平洋事業を支持し、フォローしてくれたからである。拉致問題に取り組む姿は報道で知る程度だった。今回の件で安倍批判も出ている。安倍総理は拉致問題を利用しただけだ、というような内容であった。本当で…

In Death of Prime Minister Abe: What is an Anti-Communist Cult? Part 3

In Death of Prime Minister Abe: What is an Anti-Communist Cult? Part 2 安倍総理の死に接して:反共カルトとは何か?その2 - 新渡戸を知らずに新渡戸を語るなかれ in which journalist Scott Anderson writes that the founding conference of the Unif…

安倍総理の死に接して:反共カルトとは何か?その3

安倍総理の死に接して:反共カルトとは何か?その2 - 新渡戸を知らずに新渡戸を語るなかれ で、ジャーナリストのスコット・アンダーソンが、日本の統一教会設立会議が山梨の本栖湖で開催されていたと書いている箇所を紹介した。笹川良一は積極的に統一教会…

On the Death of Prime Minister Abe: Moon and Sasakawa in the Pacific (3)

It was around November 2017 that the United States, and the U.S. military moved into the Indo-Pacific in a big way. I received inquiries from various U.S. government organizations. The reason why is because in April and May 2017, I was inv…

安倍総理の死に接して:太平洋のムーンとササカワ(3)

米国が、米軍が大きくインド太平洋に動き出したのは、2017年11月頃だ。私のところにさまざまな米国政府組織から照会がきた。なぜかといえば、2017年4、5月に古屋圭司議員が会長を務める2つの議連に私が呼ばれ、インド太平洋と海洋安全保障の件を話、東西…

On the Death of Prime Minister Abe: Moon and Sasakawa in the Pacific (2)

I was aware that Moon and the Unification Church had been infiltrating and influencing politics in a fairly wide range of Pacific Island countries since at least the 1990s. But I was afraid, so I did not approach them or try to know them. …

安倍総理の死に接して:太平洋のムーンとササカワ(2)

ムーン、統一協会が少なくとも90年代から、かなり広範囲の太平洋島嶼国に浸透し政治に影響をもってきたことは認識していた。しかし、怖いので近づかない、知ろうとしなかった。即ち、見ざる・聞かざる・話さず。 統一協会の情報はかなり公表されている。以下…

On the Death of Prime Minister Abe: Moon and Sasakawa in the Pacific (1)

In the 1990s, when I visited Pacific island countries, I was often asked. "Are you Moon?" ”No, Sasakawa." At this point, the person froze for a moment. But since they had asked me if I was a Moon, they would explain why.It was the 1990s, a…

安倍総理の死に接して:太平洋のムーンとササカワ(1)

90年代、太平洋島嶼国を訪ねるとよく聞かれた。 「あなたムーン?」 「いえ、ササカワ」 ここで相手は一瞬固まるのだが、ムーンか?と聞いた以上その理由を説明してくれるのだ。日本人の若き女性が2−3人組になってボランティアを装って政府、もしくは王室…

安倍総理の死に接して:反共カルトとは何か?その2

前回はスコット・アンダーソンのInside The Leagueの台湾と韓国の反共運動の節を機械訳し読み上げた。無料の機械訳のせいかかなり誤訳らしき箇所がある。 安倍総理の命を奪った統一教会の背景が見えてきた。戦後処理として米国の反共運動が背景にある。しか…

安倍総理の死に接して:反共カルトとは何か?

Inside the League: The Shocking Expose of How Terrorists, Nazis, and Latin American Death Squads Have Infiltrated the World Anti-Communist League June 1, 1986 by Scott Anderson (Author), Jon Lee Anderson (Author) ウィキから スコット・アン…

信夫清三郎著『後藤新平 科学的政治家の生涯』1

信夫清三郎という政治学・歴史学者の存在を知ったのは白石隆著『海の帝国』参考資料にその名があったからだ。しかも「植民」とは何か知らなそうな白石氏が「読む価値もない」と書いていたので、読む気になったのである。その著書とは『ラッフルズ伝』でこれ…

1933年発行 矢内原忠雄 "Japan’s Mandate in the South Sea"

矢内原忠雄の南洋群島の研究英語版をウェブで探して、確か100ドルくらい払って購入したのが10ページほどのこの冊子だ。すごくショックだった。後日30ドル位で英語訳の本をゲットした。 ある時ふと気がついてこの冊子の出版日を確認。OMG! 1933年3月で…

「新渡戸稲造旧蔵書の書き込み調査の経過」 (読書メモ)

日本の台湾植民に関する3千ワードの論文執筆依頼をいただいた。私が日本の台湾植民は、英国の香港植民を見習ったものである、と発言していたのをあるメディアが見つけ執筆依頼を受けた。 後藤・新渡戸・矢内原を中心に日本の植民政策について10年近く資料を…

再々・・読『植民政策より見たる委任統治制度』矢内原忠雄

ミクロネシアの地域枠組みと太平洋諸島フォーラム離脱の事を書くために、矢内原忠雄の『植民政策より見たる委任統治制度』を、何度目だろう?再読した。 特にC式委任統治制度の「門戸開放」の件を確認したかったからである。やはり反対したのは豪州とニュー…

家永豊吉ーもう一人の太平洋の掛橋「俺はジャップを撃ったんだ」

新渡戸の「植民者としての日本」に出てくる家永豊吉。新渡戸と並ぶ日米関係の貢献者で同志社大学の関係者と聞いて関心をもった。 西田毅 「家永豊吉 もう一つの「太平洋の架け橋」同志社人物像76 より https://www.doshisha.ac.jp/attach/page/OFFICIAL-PA…

「日本及び日本人とアメリカの関係」1911.11於クラーク大学

新渡戸が"Japan as a Colonizer"を講演したのは1911年11月、米国クラーク大学であった。そこで「日本及び日本人とアメリカの関係」が開催されたのだ。この記録が同大学の The Journal of Race Development にある。赤にしたのがその記録。 The Journal of Ra…

「植民者としての日本」JAPAN AS A COLONIZER

1911年11月、米国クラーク大学で開催された「日本及び日本人とアメリカの関係」において新渡戸が講演した記録を和訳しました。同会議には新渡戸のほかに家永豊吉、朝河、高峰譲吉が参加。 西田毅 「家永豊吉 もう一つの「太平洋の架け橋」同志社人物像76 …

「植民者としての日本」翻訳事業

ずっと紹介したいと思っていて手が出ないままの新渡戸の講演記録。 最初に読んだ時の衝撃をまだ覚えています。 「見てはいけないもの、知ってはいけないものを見てしまった」 植民が悪いことと思い込んでいた10年前ほどの私です。 今、学会論文が滞っていて…

『新渡戸と朝鮮半島』田中慎一 <読書メモ>

「閣下がビスマークにお会ひの時に内地植民の計画についてお聞きではありませんですか。必ずお聞きになったことと私は存じます。...」 「...社会政策上ドイツでは、一つの誇りとしてをる方針である。且つまた歴史に今までなかった試験をしたことで、こ…

新渡戸稲造の農政思想と『武士道』清水徹朗ー読書メモ

新渡戸が日韓併合に大きく影響した事に関する、北海道大学の田中慎一教授のペーパーをまとめようと思ったのですが、ウェブ検索で農林中金総合研究所、清水徹朗氏が書かれた「新渡戸稲造の農政思想と『武士道』」を見つけ、興味深かったので先にブログに上げ…

中島岳志著『アジア主義』ー読書メモ

公私にわたり團家との関わりが多少あった時期があった。血盟団事件は最初関心がなかったのだが急に知りたくなって中島岳志さんの本を読んだ記憶がある。 その書きぶりからてっきりジャーナリストだと思っていたが、中島氏は学者さんであった。『アジア主義』…

新渡戸の武士道

イケメン後藤には敵わないが新渡戸もハンサムだった 新渡戸といえば「武士道」。 そう言われと、新渡戸研究者や私のような新渡戸愛好者は違和感を感じるのではないだろうか?「わかっちゃあねえな」と。 そもそも「武士道」は英語で書かれ、新渡戸の妻のメア…

矢内原の満州・大陸政策小論5本

矢内原忠雄全集第5巻の「論文(下)」には6本の南洋に関する小論が収められている。これをきちんと読もうと本を再度開いのだが、その6本の論文の前に5本の満州と大陸に関する小論が収められている。中国のことも満州のこともわからないから読まないでいたが…