2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『日本-その問題と発展の諸局面』(16)

最近佐藤健志さんの言論を追っている。といっても出版物は手に取っておらず、現時点ではウェッブ上の情報だけである。 佐藤氏の言論の中で東京裁判の事が触れられており、日本に正義はない事が前提になっている事を指摘されていた。 あの大戦で日本に正義は…

『日本-その問題と発展の諸局面』(13)

『日本-その問題と発展の諸局面』の第三章は 「新日本の出現」 "Emergebce of New Japan". 新日本は外国人(ペリー)が国内に現れた事によって将軍と皇室が合一することになった。そして、この外国人をどのように扱うか、が大きな課題であったと、新渡戸は…

『日本-その問題と発展の諸局面』(14)

新渡戸稲造の『日本-その問題と発展の諸局面』から天皇について論じた箇所を拾っている。 第三章は明治維新以降、この本が出版される1931年までが、この時代に生き、歴史を作った当事者としての視点で書かれている。 この本は英国の知識人を念頭に書かれて…

教育者としての新渡戸稲造

「ヒューマニスト、クリスチャン、反軍国主義の国際主義者」の面だけを抽出され、改竄された新渡戸のもう一つの偉大な業績は「教育者」である。 一高、校長。東京帝国大大学、京都大学、同志社大学での教鞭を取り、東京女子大学学長初代学長、東京植民貿易語…

『日本-その問題と発展の諸局面』(12)

朝廷を支持した大英帝国のヴィクトリア女王 幕府を支持したルイナポレオン 新渡戸の『日本-その問題と発展の諸局面』から天皇論に関連する箇所をなぞっている。 今回で第二章の歴史的背景を終了する。徳川幕府時代の天皇論である。 要約して書くはずが、一…

改竄する矢内原 改竄される新渡戸

新渡戸の言論を読みながら少しずつこのブログに書いている。結構な、というかかなりの反応がある。その多くが 「新渡戸がそんな事を言っていたんですか?」 という驚きの反応である。実は当方も当初は全く同じ反応であった。 矢内原の「南洋群島の研究」で矢…

昭和研究会の起源

明治神宮内の日本青年館 「民族の自決とレーニン」で紹介した『日本・1945年の視点』(三輪公忠著、東京大学出版会、2014年)は重ねて貴重な本である。 日本を戦争に追い込んだのであろう「昭和研究会」の起源も書いてある。 第三章大正の青年と明治神宮の杜…

『日本-その問題と発展の諸局面』(11)

新渡戸は同書において、あくまでも天皇制を支持する。 それは、「八紘一宇」とか「現御神」という言葉で導いた皇国史観とは違う*、科学的、学術的説明なので、当方はすんなり飲み込める。当方は天皇制に関するこういう説明を始めて読んだ。これならば英国人…

『日本-その問題と発展の諸局面』(9)

新渡戸が亡くなる2年前、 オックスフォード大学フィッシャー閣下編集世界史シリーズの一巻として書かれた『日本-その問題と発展の諸局面』。 この本の中の天皇論を中心になぞっている。 繰り返すがこの本(英文)が発行された2週間後に満州事変が起った。…

『日本-その問題と発展の諸局面』(10)

これもかなり驚いた。 新渡戸は9世紀始めの近畿地方の家系登録調査の数字を紹介している。 表とグラフでどうぞ。 (『日本-その問題と発展の諸局面』新渡戸稲造全集第18巻、2001、87頁から作成しました!) 「わが国の歴史の始めから、天皇がその妃や卑賤…

『日本-その問題と発展の諸局面』(7)

新渡戸が絶賛する太子による国家統合の後は「奈良時代と平安時代の文化」「輸入文化の衰退」と続く。 都(天皇の住居と行政官庁のあるところ)が頻繁に移動する理由を当方は疑問に思っていたが、「死が起きた場所は汚れているという俗信によるもので、官庁は…

『日本-その問題と発展の諸局面』(8)

「カナとは、これらの音節記号のことだが、それは漢字の約二万から三万に対して、四十七文字からできていて、中国の書籍崇拝や言葉崇拝に対する反抗の最初のラッパを鳴り響かせ、また、学問を民衆のものにする第一歩ともなった。」(『日本-その問題と発展…

新渡戸稲造博士の足跡を訪ねて

ちょっと休憩。 新渡戸稲造に関するブログを書きながら関連情報をウェッブで探していたら偶然みつけたサイトがある。 「新渡戸稲造博士の足跡を訪ねて」 http://inazo-nitobe.blogspot.co.nz/ 「新渡戸稲造ものがたり」という本を書いた柴崎由紀さんのサイト…