『日本-その問題と発展の諸局面』の第三章は前回で終了するつもりだったが、下記の新刊が紹介されていたので、同じ事を1931年のこの本で明確に述べている事だけメモしておきたい。
「満州国建国」は正当である 単行本 – 2016/7/23
ジョージ・ブロンソン・レー (著), 竹田 恒泰 (監修), 吉重 丈夫 (翻訳)
本の紹介に「日露戦争時、実はロシアと清国は「露清密約」を結んでおり、“連合軍"として日本と戦ったのであるが、このことは日本人には教えられていない。」とあるが、新渡戸の本には明記していあるのだ。
『日本-その問題と発展の諸局面』の三章、16節「内外の難問」に 「しかしながら、一つの驚くようなことが明るみに出た」と新渡戸は始める。
日露戦争8年前の1896年に中露の秘密条約が締結されていた。
この条約には中露が「それぞれの活用できる陸海全軍の力を用いて、日本がアジアのロシア領土、中国、朝鮮に対して行ういかなる攻撃にも援助し合うこと」が保障されていた。
「軍事作戦中は、中国の全港湾はロシア艦船に開放される。満州を貫く鉄道の施設権は、”ロシア中国銀行”に許可される。この条約の効力は鉄道契約が締結されてのち15年間にわたる。」
新渡戸は「こんな条約の存在が知られさえしていたら、今日喧しく論じられている満州問題など、決して起りもしなかったろう。」(174頁)満州事変はこの本(英文)が出された2週間後に勃発。
そして新渡戸は中国を「日本はその隣国に、秘密においても宣伝においても、とうていかなわないことを、改めて教えられた。」と批判する。
今の状況と全く同じではないか!