『日本-その問題と発展の諸局面』(22)

 

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『日本-その問題と発展の諸局面』は25才で即位された昭和天皇に向けてジュネーブ国際連盟から戻った65才の新渡戸が書いているような気もする。
 

現行憲法天皇象徴論の起源が新渡戸にある、と評論家の櫻田淳氏が述べていたのが気になって、新渡戸がそんな事を言うわけがないと調べ出したのがこの『日本-その問題と発展の諸局面』シリーズである。

もう22回目になった。

結論を書いておくと、もし現行憲法が新渡戸を参考にしたのであれば、『武士道』かこの『日本-その問題と発展の諸局面』にある天皇論であろう。しかし、「象徴」と言ったのはフランス人社会学者Émile Boutmyであって新渡戸ではない。新渡戸は英国王室をそのように形容したBoutmyを参照しただけである。 そして、新渡戸が書く天皇論は日本の歴史を深く掘り下げ、明治維新以降の近代史もその時代に生き、国を作ってきたリーダーとして詳細且つ哲学的に述べているのである。

(参考)

新渡戸稲造の天皇象徴論 - やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

新渡戸稲造の天皇象徴論(2) - やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

新渡戸稲造の天皇象徴論(3) - やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

 

このブログでは新渡戸が書いてきた事をなぞっているだけだが、結構な反応をいただいているので、このまま続けたい。 何よりも1931年に英文で出版された同書は憲法作成に関わったGHQ及びその周辺の関係者に必ず読まれていたに違いないが、逆に1985年に和訳本が出るまで日本人は知らなかった可能性がある。

特に、矢内原等新渡戸の一番弟子達が、植民主義者で帝国主義者であった(この両主義の定義は誰もしていない)新渡戸を守るために新渡戸の言論を戦後改竄しているので、同書が無視されて来た可能性もある。 さて、いよいよ国体、天皇制について書いてある「第四章 政府と政治」に入る。 この後、教育、労働・人口、思想と3つの章が続く。