尖閣諸島問題を巡る李登輝の安倍総理への3つの願い、と 新渡戸稲造のオーランド諸島裁定

李登輝氏の来日は、今回SNSで色々と知る事ができた。

その中でも印象的だったのが「[李登輝・特別寄稿]日台の絆は永遠に」にあった【安倍総理へ3つのお願い】である。李登輝氏は最初のお願いに尖閣諸島問題を巡る日台漁業交渉を持って来ているのだ。下記引用する。

大東亜戦争に出征して散華し、靖国神社に祀られている台湾人の英霊は2万8000柱。現在、このことを多くの日本人が知らないのは残念である。

 もし、先の戦争における台湾人の死を無駄にしないために、日本は何をすべきかと問われれば、私からは次の3つのことをお願いしたい。

 1つ目は、昨年4月に締結された日台漁業協定に従い、尖閣諸島周辺における日台間の漁業権の問題を円滑に解決することである。この協定は安倍総理のリーダーシップによって結ばれたもので、私は高く評価している。「水面下で私が反対派を説得した」という論文も目にしたが事実無根で、私はいっさい何もタッチしていない。ひとえに安倍総理の決断のおかげだ。実務レベルではまだまだ解決すべき課題は多いだろうが、引き続き安倍総理指導力に期待したい。」

 

 これには少々驚いた。安倍総理への3つのお願いの先頭が日台漁業交渉とは。。

 

 さらに同論稿の中で気になったのが、李登輝氏が新渡戸稲造からの影響を受けていた事だ。これは知らなかった。台湾と言えば新渡戸稲造のはずで、当たり前と言えば当たり前だが、この論稿にわざわざ書かれている事の意味を考えた。

 

そして、ハッと思ったのは、「新渡戸裁定」との評判高きフィンランドスウェーデンの領土問題オーランド諸島の件である。簡単に言うと、スウェーデン人の住むオーランド諸島がフィンランド領であったのを、フィンランド領のまま、同島に自治権を与える形で解決したのである。

新渡戸を尊敬されている李登輝氏がこれを知らない訳がない。

 

日台の領土問題尖閣諸島に応用する事に考えが及んだのではないか?

即ち台湾漁民の利益が守られる範囲で、尖閣諸島は日本の領土とする。。

当方の勝手な想像である。

その際、沖縄漁民の利益を守る事が重要なのである。ここで違法操業取締も対象とするミクロネシア海上保安事業が関連してくる。

李登輝氏が新渡戸裁定を、即ちオーランド諸島領土問題を充分に知っているのであれば、

台湾も日本の自治領となる事が一つの選択肢として、全く有り得ない話ではないのではないか。

李登輝氏の同論稿には下記の記述もある。

「宴が終わるころ、司馬さんは彼女から二度も「日本はなぜ台湾をお捨てになったのですか」と問われ、答えに窮してしまう。「たずねている気分が、倫理観であることは想像できた」と司馬さんはお書きになっている。

今日、台湾が世界一の親日国であることを否定する人は誰もいないだろう。日本統治を経験したいわゆる日本語世代のみならず、若者のあいだでも親日家は多い。しかし、こうした台湾人による日本への思いは、長いあいだ「片思い」にすぎなかったのかもしれない。2011年の東日本大震災時、多額の義援金を日本に寄せたことによって、台湾人による「片思い」の時代は終わった。だがそれにしても、日本の敗戦によって台湾が辿ることになった苦難を思えば、日本人の台湾に対するそれまでの態度は冷淡であったというほかない。とくに日本統治を経験した日本語世代のなかには、了解できないわだかまりを抱えている者がいるのも確かである。」