新渡戸の武士道

f:id:yashinominews:20200831161708j:plain 

イケメン後藤には敵わないが新渡戸もハンサムだった

新渡戸といえば「武士道」。

そう言われと、新渡戸研究者や私のような新渡戸愛好者は違和感を感じるのではないだろうか?「わかっちゃあねえな」と。

そもそも「武士道」は英語で書かれ、新渡戸の妻のメアリーさんに日本文化や習慣を説明しながら外国人のために書かれた日本紹介本なのである。以前日本の道徳教育はどうなっているのかと高名な法学者に聞かれ答えられなかった反省を込めて出版されたのだ。なので葉隠というような武士道の議論とは違う。多分。

この事を林信吾氏が(作家・ジャーナリスト)的確にまとめている記事を見つけた。林氏はこの武士道はあまり高く評価せず、『ガイジンでも分かるニッポン文化』である、と切り捨てる。私はそこまで批判的ではないが新渡戸の作品の中では中の下くらいの位置付けである。

林氏はさらに武士道を書いた新渡戸は「昭和の軍国主義の時代には世間やマスコミから酷い仕打ちを受けた」ことも指摘。昭和の軍国主義も戦後の保守右翼も新渡戸の「武士道」にある道徳観や正義感からは遠い存在なのである。

『武士道』著者が受けた仕打ち 横行する「危うい正義」その3 (1/2)

 

f:id:yashinominews:20200831163303j:plain

新渡戸の武士道を批判した人が他にもいる。草津温泉図書館でベルツの本をめくっていたらあったのだ。閉館のベルが鳴ったので、慌ててそこだけ写メしておいた。『ベルツ日本文化論集』だったはずだ。武士道の理念は中国に由来する封建制であり、封建制神道的な天皇制とは相入れない、とベルツは書く。サムライ精神が花開いた時、天皇権力は衰退したと。

 

ところで日本人の道徳心、倫理観、情緒を説明できるのは「武士道」だけなのだろうか?私はそれは童話とか民謡にあるように思う。花咲か爺さん、桃太郎、鶴の恩返し・・・子供達はそのような話を繰り返し聞かされ、道徳を学ぶのではないだろうか?新渡戸は民話の研究もしている。もし新渡戸が民話を用いて日本の道徳教育を英語で紹介していたら、日本の歴史は違っていたかもしれない。。